クラシック半券ギャラリー

1998年07月26日(日)

朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団


<プログラム>
ブルックナー交響曲第5番変ロ長調(ハース版)

1998年07月26日筆

7月9日に90歳になられてはじめての朝比奈隆さんの東京公演。このためか、天皇皇后両陛下が臨席されての公演となりました。

私の場合、ブル5というと所沢で聴いて以来です。第4楽章に別働隊を導入するなど感動的な演奏であったと記憶しています。さて、本日の公演ですが、この時の演奏の印象が強くあるいは私の体調のせいか、私とは相性があまり合わない演奏のように感じました。このあたりは、若杉さんのブルックナー・チクルスを聴いたせいか、私のブルックナーに対する趣味が変わったからでしょうか?

伸び伸びと全力でオケに演奏させるのはいつものどおりで良い。第1楽章でアレグロ主部へ突入の楽想の変化など素晴らしく感じました。また、休符が生きているのが素晴らしい。その後、座席の位置のためか、リズム、音の輪郭感がイマイチでした。少しダレたような印象が残念。

第2楽章について、アダージョは清らかな表現。ただ弦楽器に潤いが欲しいと思いました。

第2楽章の後には、第4楽章で活躍する金管別働隊の入場。(ところで、ベートーヴェンの「第九」では合唱・ソリストとも最初から入場させるのに、別働隊はどうして途中からと頭をひねる。)

私が引き込まれたのは、第3楽章のトリオの部分に直前あたりからです。実際、このあたりからオケものってきたような感じがします。

第4楽章。冒頭のクラリネットの表情から全楽章の回想、第2主題の軽いテンポ感、展開部のフーガなど印象的でした。ただ、ラストのコラールの金管の別働隊の使用は疑問?確かに迫力の表現としては感動的ですが、サントリー・ホールの大きさでは必要は無いと感じました。朝比奈さんは、日本のオケの金管は弱いというような発言をしています。ベートヴェン・チクルスの時の金管の倍管は個人的には納得して聴いていたのですが、今回のブル5ではやかましいという感じになっていたと思います。(所沢ミューズ・ホールぐらいの形状、容積があればと思います。)

最後の音が鳴り終わり、しばしの静寂の後に拍手拍手。オケが退場、一度、朝比奈さんが呼び出される。そして、天皇皇后両陛下退席の後もスタンディンオベーションの拍手が続きもう一度呼び出されておりました。

世界最高齢の指揮者への盛大な拍手でした。


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