クラシック半券ギャラリー

1998年08月02日(日)

東京二期会オペラ劇場 「フィガロの結婚」


大勝秀也指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
演出&舞台美術:ウバルド・ガルディーニ

 伯爵:青戸 知  伯爵夫人:島崎 智子
スザンナ:名古屋 木実  フィガロ:池田 直樹
ケルビーノ:管有美子  マルチェリーナ:秋山 雪実

1998年08月03日筆

 「オペラは始めてみる作品が大切」とかいうセリフで「フィガロの結婚」が登場したのは、ジュリア・ロバーツが出演していた「プリティー・ウーマン」でしたっけ?

 さて、今回の二期会の気分爽快な舞台を観て、オペラは「フィガロ」に始まり「フィガロ」に終わる、と感じました。もちろん、ワーグナーのような重厚な作品を深く哲学的に考えるのも、イタ・オペの悲劇に浸るのも、オペラの醍醐味です。しかし、序曲からウキウキ、上演中はドキドキハラハラ、終わった後は、笑顔で家路に着く。これがオペラの楽しみの原点ではないでしょうか?この意味では「フィガロ」が最も優れた作品ではないでしょうか?

 私にとっては、3回目のフィガロ。始めてみたのが、「ウィーン国立歌劇場の来日公演(ミラー演出)」「プラハ国立劇場オペラ」以来です。今回の演出は、前者のウィーン風のような舞台と言えるでしょう。舞台装置は、質素な感じですが、細かい所を変えることにより、各部屋の違いを出しています。その大きな窓から差し込む光が印象的でした。(ちょっとミラー演出に似ていたけれど)4幕の庭のシーンは正直今一歩かな。でも、どうすれば良くなるかは私の頭に浮かんでいません。各登場人物の動かし方も、大げさなゼスチャー(ちょっと観ている方がはずかしい)を使い、分かりやすくまた飽きさせない演出といえるでしょう。

 さて、歌手でベストだったのが、スザンナ役の名古屋木実さん。オテンバなお嬢さんという感じで、役柄にぴったりでした。フィガロもしっかりしていましたが、ちょっと危なっかしいところも。伯爵夫人の島崎智子さん。出始めのときは、声質が明るい感じがして、心のヒダというか暗い部分が表現が欲しいと感じましたが、最後まで聴いたら、それは欲張りだろうと思いました。伯爵もエロ・ジジイの振るまいがなかなか。全体的にアンサンブル・オペラという感じで、少し前に観たベルリン・コーミッシェ・オーパーのような芝居小屋の雰囲気が感じられたと思います。(ちなみに二期会のオペラは初めて、きっと、いつもこの調子なのだろうと思います。)

 忘れてはいけなのがオケ。新国主催公演では不満がある場合が多々ありましたが、今回の大勝さん&東フィルはgood!木管がフワァ〜と浮かび上がるような感じが素敵でした。序曲から生き生きと爽快なこの公演を支えていたと思います。

 以上、私としては大満足の公演でした。ところで、新国のシーズン公演で「フィガロ」ってやるのかな?


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